訪問歯科診療で行うこと
1.歯科衛生士によるブラッシング指導
お口の中が不衛生だと、むし歯や歯周病だけではなく、肺炎などのさまざまな病気にかかってしまうリスクが高くなってしまいます。日々の歯みがきから清潔な状態を保てるように指導するのはもちろんのこと、訪問時にはプロフェッショナルによるケアを実施します。
2.誤嚥性肺炎の予防
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液が気道に入ることがキッカケで、お口の中の細菌が灰に入り込んで起こる肺炎です。誤嚥を起こしてしまう理由として、噛む力や飲み込み機能が低下していることやお口の中が清潔ではないことが考えられます。そのため、肺の入り口ともなっているお口の中を清潔に保つようにすること、食べたり、飲み込んだり、発音したりする力が衰えないように口腔機能を維持・向上する取組を行います。
3.口腔機能低下症の検査
口腔機能低下症とは、その名の通りお口の中の機能(咀嚼、嚥下、構音、唾液、感覚)が低下していく症状です。原因のほとんどは加齢ですが、その他にも疾患や障害など様々な要因があります。口腔機能低下症をそのままにしていると、食事をすることが難しくなり、お口だけでなく全身の筋力が衰え、特に高齢の方は要介護状態につながります。
当院では、主に咀嚼と舌圧の測定を行います。
咀嚼機能の測定
咀嚼能力を簡単に測定できる咀嚼能力検査システムです。
グルコース含有グミ「グルコラム」を20秒間噛んで「咀嚼機能検査キット ろ過セット」で得られたろ液をセンサーチップに点着することにより、咀嚼能力をわずか6秒で数値化します。咀嚼能力の数値化することで、術前後の咀嚼能力の比較が行え、治療経過の把握に活用しています。
舌圧の測定
JMS舌圧測定器は、舌の運動機能を最大舌圧として測定する器具です。
得られた測定値は摂食・嚥下機能や構音機能に関する口腔機能検査のスクリーニングの指標となります。
こうしたオーラルフレイル(お口からの体の衰え)は年齢を重ねるごとに低下していきます。しかし、下り坂を下っていくだけの悪い状態に進んでしまうわけではありません。意識的にお口の中を健康に保つための努力をすることでブレーキをかけて止まったり、反対に坂道を上ったりすることは十分できます。つまり健康な状態に戻していくことだけではなく、未然に防ぐことができるのです。